北方領土と日ソ中立条約が破棄されたことの正当性に関する検討

北方領土に絡む、日ソ中立条約破棄について検討してみます。

http://www.geocities.jp/hoppouryoudo_case/4-shutyou.htm
上記URLの内容を確認してみます。


日本の主張

① 北方領土が太平洋戦争以前にロシア領であったことは一度もない日本固有の領土である。
② 1855年の日露和親条約で日露の領土が確定した時に択捉島以南が日本領となっている。

これについては、争いのない事実であろう。


④ ソ連が北方領土を含む千島列島に侵攻したのは、1945年8月9日のこと。
太平洋戦争の終結は1945年8月15日だから、ソ連は終戦5日前に侵攻してきたことになる。このとき、日本とソ連は日ソ中立条約を結んでおり、この条約の期限は1946年4月までだった。

これについては、日本側は条約は有効としているが、ロシアは無効であったとしているはず。


⑤ 日本がポツダム宣言を受諾したのは、1945年8月15日のこと。
この時点で、日本と連合軍の間には「停戦」が成立してた

ポツダム宣言は、事実上の降伏勧告であり、日本が降伏文章に調印したのは9月2日である。その間に交戦国同士の間でとりかわされた、停戦協定や休戦協定が確認できないので、「停戦」は成立していなかった。

⑥ 日本はサンフランシスコ講和条約に調印し千島列島を放棄した。
しかし、日本が放棄した千島列島に北方領土は含まれていない。
条約で、日本は千島全島を放棄しましたが、ソ連自身はこの条約に調印していない。

北方領土が千島列島に含まれるかは、両国間で争いがある。しかし、ソ連が条約に調印していないのであれば、他の調印をした国が当事者間での解決を許諾するのであれば、ロシアがサンフランシスコ講和条約を根拠に北方領土変換を拒否することは難しいと思われる。


ロシアの主張

① 日本は終戦間際におけるソビエトの参戦を非難する。
しかし、ソ連の参戦や、戦後の千島列島割譲は、1945年のヤルタ会談において連合国に対し事前に承諾されている。したがって、大日本帝国が崩壊した時点で、ソビエトが占領した千島列島を領有することは、正当な行為である。

共和党アイゼンハワー政権は「(ソ連による北方領土占有を含む)ヤルタ協定はルーズベルト個人の文書であり、米国政府の公式文書ではなく無効である」との米国務省公式声明を発出している。ので、無意味である。

② ソビエトは、日ソ中立条約の破棄を日本国に宣言した後に、日本に対し進撃を開始した。
条約破棄の宣言の伝達が遅れたのは、深夜であったため、日本政府の関知が遅れただけに過ぎない。したがって、条約の破棄は日本に対し事前に伝達されており、ソビエトの進行は違反行為とはならない。

北方領土が占領されたのは、1945年8月からにかけてであり、このあたりはあまり重要ではないと考える。

③ 戦後の極東軍事裁判における確定判決の内容は、日ソ中立条約を
「誠意なく、またソビエト連邦に対する日本の侵略的な企図を進める手段として結ばれたもの」と認めている。したがって、日ソ中立条約はその条文が両国の間に効力を及ぼすことはない。

これについては、②と矛盾している、条約が両国間に効力をおよぼさないのであれば、②の主張は必要ないはずである。

④ 戦後、日本はサンフランシスコ講和条約において、日本は千島列島を放棄すると宣言している。千島列島は択捉・国後・歯舞・色丹の北方4島を含むため、日本はこれら4島を領有する権利はない。ただし、色丹・歯舞列島については千島列島ではなく、北海道に属する島であると解釈し、返還してもよい。

4島の権利がない理由が不明である。放棄した千島列島が、どの国の領土であるかは講和条約にて決まっていない。


⑤と⑥は、すぐに確認できなかったので割愛する。


検討した結果

日本は日ソ中立条約違反を指摘するが、条文を見る限りでは、いつでも廃棄できるように書かれているわけではないが、更新1年前以内であれば、いつでも廃棄通告できるようにも読める。

非公式であるとはいえ、ヤルタ会談では第二次世界大戦の結果どの国も領土の拡大はしないということが約束されたはずである。軍事力による占領下におかれたものは終戦後に返還することになっているのだから、誰のものでもなくなった北方領土を当時軍事的に占領下においていたソ連の領土であったとロシアが理解するのは何故だろう?つまり、ソ連の軍事行動を引き継いで、北方領土がロシア軍の管轄下にあることは認めてもいいが、ロシア領とされることには疑問がある。北方領土はロシア軍管轄のどこの国の領土でもない地域となるのではないか?なぜ、ロシア(当時でいうソ連)だけが、第二次世界大戦の結果として領土が拡大しているのか?

検討した結果、いままでと違う見解を持つようになった。

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